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『金権野球』の一掃を、ってプロ野球だけでいいの?

出た!これこそ「言いたい放題 きれいごと社説」の典型。本日付朝日新聞の社説「『金権野球』の一掃を」には笑った。

論旨は想像の通りだ。巨人が明大のエースに現金を渡していたのはケシカラン。巨人はプロ野球人気回復のためになりふり構わず金にものをいわせて有力選手をかき集めている。ドラフトの骨抜きを進めたのもナベツネだ。しかし、こうした措置はかえってプロ野球の地盤沈下を招いている。今回の辞任をきっかけに野球界は考え直せ。

どれもどこかで聞いたことがある巨人批判ナベツネ批判で、タイミングとしてはいいのだろう。しかし、朝日新聞が主催している高校野球の実態はどうなっているのか、そこには完全に目を閉ざしている。甲子園で試合をしている各県代表を本当に「郷里の代表」と信じている県民はどれだけいるだろうか。「学校はたまたまウチの県にあるけど、選手は全国の中学校から優秀なのをかき集めているだけ」とシラけている所が多い。そしてこの選手募集が学校と指導者の誠意と熱意だけで進んでいる、と信じるオメデタイ県民も少ないだろう。年齢の幼さに比例して金額が小さいだけで、ここにも「実弾」が飛び交うのは常識、これだって立派な金権野球だ。

プロ野球の場合と違って、直接自分の会社がカネを出して手を汚しているわけではないから目を閉ざしていればいいのか。表沙汰になっちゃった部分はドンドン叩く、それこそが立派な社説なんだね。
# by haloon | 2004-08-16 16:57 | 本日のお題

終戦の日に

終戦記念日。このところ先の大戦に関する本を読む機会が多かったこともあり、当日の靖国神社がどうなっているのか見たかったが、勤務の都合でかなわなかった。

カメラマンの同僚が出くわした、ちょっと不思議な話を紹介する。

戦後50年に合わせた企画だったと思うが、このカメラマンはミクロネシア・トラック島に沈んだ旧日本軍の船の残骸に潜るという取材をした。旧日本軍に徴用され、かの地で沈んだ商船だ。撮影で照明などを担当する助手と2人で潜っていったら、水中で「おーい!」と呼ぶ声がする。陸に上がって「おい、お前さっき水中でおれのこと、呼んだ?」と助手に聞くが、「いいえ、呼びませんよ」。次にまた潜ったら、また「おーい!」と。カメラマンが水中で自分の耳を指さして「聞こえた」と示すと、助手も耳を指しながら「僕も、僕も」とのジェスチャー。陸に上がって「一体アレは何だ?」と話していると、現地人のガイドさんが「実は、日本人にだけ聞こえるらしい」と打ち明けた。二人はすっかり気味が悪くなったが、仕事で来ているだけにやめる訳にもいかない。次の日もおっかなびっくり潜ったら、今度は「助けてくれー」など、かなりはっきりと聞こえる。さらに問題の船に近づくと、食堂のような大広間では、なにやら大合唱が。中に入っていくと、はっきりとした歌詞まではわからないものの、あきらかに軍歌のようなものが耳をつんざくばかりの大音響で響く。もちろん撮影は続行したが、ビデオにはこの音声は一切記録されていなかった。

この話には「オチ」まである。出張から戻ったカメラマン、本社からタクシーで自宅に向かった(出張からの帰宅は、荷物が多いためタクシーで帰宅できる)。彼の自宅は板橋区、疲れ切っていたのでタクシーに乗って行き先を告げるなりぐっすり眠ってしまった。しばらくして目を覚ますと、どうも見覚えのないところを走っている。「運転手さん、これ、違うんじゃない?」と聞くと「すみません。道を間違えました」。そこで窓の外を見たら、車はなんと靖国神社の前に止まっていた。カメラマンと助手は「これは、連れて来ちゃったんだなぁ」と、日を改めて靖国神社で慰霊の祈祷をしたのである。

この話は、信頼できる真面目な同僚二人が話すのだから、まさか作り話とは思えない。たしかに「怖い話」には違いないが、それよりも、日本に家族を残し異国の地で敵に撃沈されてさぞ無念だっただろう日本人の気持ちが胸に迫る。たまにやってきた同胞に声をかけているのに、ただ「怖い、怖い」ではあまりにかわいそうだ、と思うのだ。
# by haloon | 2004-08-15 11:22 | 本日のお題

つまり「社風」なんだな、これは

私の大嫌いな老害オーナーが突然辞任した。当日夕刻に「やめるらしい」という第一報を聞いた段階では辞任理由が伝わっていなかったので、「責任を取ったんだろうな」となんとなく思ったが、よく考えてみると彼の一連の暴言だって、ファンを無視した1リーグ構想だって、本人は確信犯でやっていることであって、「引責する」という発想が彼から出ることない。直接の理由になった明大選手への金銭供与は、大物オーナーが辞任するにはあまりにも小さいネタという印象が強いため、「もっと大きなスキャンダルが出そうになっている」「クーデターか」「プレッシャーで投げ出したのか」などの憶測が飛んでいるが、詳細は知らない。クーデターが起こりにくいのは北朝鮮並みだろうし、プレッシャーを感じるタマとも思えないな。

坪内祐三「靖国」(新潮文庫)に興味深い話があった。1964年にビートルズの来日公演が日本武道館で行われる前、主催した読売新聞社の正力社長は「『ペートルス』というのは何者だ。あんなものを武道館に入れるわけにはいかない」と反発した、という。そう、つい最近聞いた暴言にとても似ていますね。件の老害じじいは近鉄買収に名乗りを上げたライブドアの堀江社長について、「知らない人が入るわけにはいかんだろ。ボクも知らないような人が…」と言ったのは有名な話。

日本語ではこれを「社風」という。もしこんな社風の会社に記者として所属していたら、居心地はどんなものだろうか?
# by haloon | 2004-08-15 10:03 | 本日のお題

再開発は街を活性化しているか

私は都内の再開発地区の一画にあるマンションに住んでいる。まだ築年数が浅いので、快適だ。たまたま希望条件にあうマンションがあったから買ったまでで、特に地縁があったわけではない。しかし子供の学校のつながりから近所の知り合いも増えてきたし、地元のお祭りにも参加、楽しませてもらっている。以前の地域の姿は知らないが、タクシーで帰宅する際に運転手さんが「この辺は前はゴチャゴチャしていたのに今はすっきりして、かえって道がわからないですよ」という話を聞くことがある。

なにしろ快適に住んでいるから、心情的には再開発というものにも肯定的な意見を持っている。そういえば不動産会社の友人は「再開発っていうのは、地元の地権者の説得がもう大変なんだ。お祭りの手伝いに行ったりして食い込んだりしなくちゃいけない。でも事業が終わると最終的にはみんなに感謝されるんだよ」と言っていた。

しかし「再開発で町が活性化する」、とはいったいどういうことなのか。新しくできる巨大ビルは家賃が高いのだろう、飲食店は軒並みチェーン店ばかりが並んでいて、わざわざ入らなくても味が想像できる気がする。「お、ちょっと面白そうだな」という小粋な店、なんていうのはあり得ない世界だ。実は私の会社も「町ぐるみで再開発」みたいな地域にあるからここも同じ状況になっていて、ちょっと息が詰まる。昔ながらの繁華街(死語?)を歩くとなんだかワクワクする。

本日付日経朝刊(12面)によると、外資系ファンドなどが地方に進出する姿が目立ち始めたという。「都心の地価が下げ止まって利ざやが望めないから」ということなのだろうが、短期の利益を狙ったいわゆる「はげたかファンド」が地方経済を食い物にするのであれば、それは悲惨だろう。どの地方都市に行っても街道沿いにはショッピングストアーと大型パチンコ店ばかりで、駅前商店街はさびれる一方だ。そんな荒涼たる風景を外資系資本が変えてくれるとはとても思えないが、それでも「資本進出は活性化になるから歓迎」ってことなのだろうか。
# by haloon | 2004-08-12 22:31 | 本日のお題

「ずっと生きてて、スミマセン」の時代

いわゆる「新交通システム」に乗った時のこと。「やけにカーブで減速するなあ」と思っていたら、車内アナウンスで「只今、手動で運転しております。ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません」と来た。いつもは自動運転している(運転士がいない)新交通システムが、この日は運転士が運転していたわけで、技量を維持するためにやっていたのだろう。

しかし、何か変だ。人間っていうのは「ご迷惑」な存在にまで成り下がっちゃったのか。こんなジョークがある。「未来の飛行機は犬1匹と人間ひとりだけまで合理化できる。操縦するのは犬、人間はその犬に餌を与える役目だ」

出生率が1.29にまで下がったことが大問題になっている一方で、産業界では、運転が遅いから、作業が不正確で効率的でないから、賃上げが必要だから、年金の会社負担分があるから「ご迷惑」。そうか、将来老齢世代を支えてくれる子供の出生だけが必要で、年金にぶら下がる世代は「ご迷惑」なんだな。なんて、ひがみっぽく考えてしまうほどだ。

超高齢化社会を迎える日本。2030年には3人で2人以上を扶養することになる。って、よく考えるとその時に私は60歳台後半になっているわけで、モロに1.29世代に扶養していただく存在になっているのでした。よろしくおねがいしまーす。
# by haloon | 2004-08-11 05:49 | 本日のお題