東京の「皮膚感覚」がニュースを支配する

今朝は紀伊半島沖の地震と台風18号でニュースのほとんどが占められた。地震では震度5弱が2回起きてけが人が多数出ているし、台風は「大型で非常に強い勢力」(6日午前現在)がまた九州に上陸しそうだから、ニュースとして大きくなるのは当然だ。こうした東京(関東)以外の災害ニュースの扱いについていつも心配していることがある。「東京の本社から遠いからという理由で、ニュースとしての扱いが小さくなっているのではないか」ということだ。

テレビの例で紹介する。ニュースの項目立て(順番と項目ごとの長さ)は、それぞれのニュース番組のプロデューサーの責任(権限)になっていることが多い。もちろん各社ともある程度の年数を報道で過ごしてきたベテランがこれにあたるわけだが、どうしても個人の色合いが出る。これは「番組としてのスタンス」として明確に打ち出すものとは別の「皮膚感覚」に近い。例えば昨夜の地震は関東でも揺れを感じたらしいが(私は爆睡中でした)、責任者が揺れを感じて飛び起きた場合と、気がつかずにいた場合では、彼の意気込みが違ってくる。台風にしてもしかり。沖縄の風速40Mよりも、東京の5ミリの雨で彼のズボンのすそが濡れたかどうか、そこで大きく変わりはしないか。雪やお盆の高速渋滞のニュースも東京が中心だ。都心の10センチの積雪で大騒ぎするニュースは豪雪地帯の視聴者にはどう映るのだろうか。本日付の「天声人語」(朝日)で紹介していた沖縄出身の詩人・山之口獏の言葉もこの文脈だった。「東京は、ものごとを大げさに言うところだと思った。ちょっと強い風が吹くとすぐ暴風だといって騒ぐ」。正確には「自分たちが感じたことだけは大げさに騒ぐ」ような気がする。

こうした「東京至上主義」は民放に顕著だ。NHKや新聞社は全国一元の組織なので(新聞社によっては東京本社と大阪本社では文化がガラリと違うというが、それでも掲げている看板は同じだ)、「地方の視点」が反映される下地が比較的多いが、民放で東京のキー局に原稿と映像を上げてくるのは別会社の顔馴染みでない記者たちで、そこにどうしても心理的な垣根が生じる。

「地方の時代」という、もっともらしいような意味不明な掛け声が流行ったことがある。しかし既成メディアの世界ではまだまだ東京一極集中が続く。どこのチャンネルを見ても東京が見た東京にとって都合のいいニュースばかりが流れる姿が豊かなテレビ文化と言えるか。

各地方の視聴者は地元のニュースにしっかり関心を持ち、地元のメディアを応援するべきだ。現状ではそれぞれの地方紙を購読して、身近な話題をフィードバックするなどの協力をすることがこれにあたるだろう。そして個人でもネットやブログを使って地方の特色・ニュースをどんどん発信する。それがなくなると情報までが「東京からの落下傘」に塗りつぶされる。文化の圧殺は経済からだけではない。
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# by haloon | 2004-09-06 17:50 | 本日のお題

想像力の欠如は命にかかわるのだ

本日付日経夕刊社会面「首都大地震なら帰宅する人の大半食料『コンビニで』」を読んでハッとさせられた。警視庁の警備心理学研究会というところの調査結果の紹介だ(警視庁にはこんな組織もあるのだね)。調査によると都内で大地震が発生した場合、52.9%が「飲料水や食料の購入先をコンビニで」と回答したが、コンビニ経営者の3割は「従業員を全員帰す」としている。研究会は「地震への警戒心が年々薄れて対策が進んでいない。非常食の備蓄や帰宅訓練を」としている。

おやおや、ウチの社がどのような備蓄をしているかは知らないが、自分もこの52.6%組のひとりだった。意識の下で林立しているコンビニをなんとなくぼんやり頼りにしていることに気が付かされる。自宅に防災セットもない。なにしろコンビニでは、水・食料・電池・懐中電灯と何でも売っているし、24時間営業が当たり前だ。きっとこの「なんとなく」が一番いけないのだろうな。こうした非常事態下でコンビニだけが普通に営業を続けられるはずがない。そんなことはちょっと考えればわかることなのに、それを怠っている。

便利な生活にドップリと浸かっていると、それが機能しなくなることへの想像力がどんどんマヒしていく。何も起きなければそれでいいのかもしれない。しかし、いざサバイバルな状況に放り出された時に、こうした日常的な想像力のちょっとした違いが生死を分けるのかもしれない。そう思ったらゾッとした。

おっと、大地震が起きた場合、私は普通の会社員のように「速やかに帰宅する」のではなかった。逆に「なんとしても出社してニュースを出す」のか。ますます家族のために防災セットは必需だな。
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# by haloon | 2004-09-04 22:52 | 本日のお題

行政の無策を民間に押し付ける安直さ

自転車通勤には挫折した私だが、基本的に自転車とその周辺の人・モノには関心を持ち続けている。名ホームページ「自転車通勤で行こう」の疋田智さんは心の師匠だ。

だから豊島区の「放置自転車等対策推進税」には本当にハラが立つ。これは「放置自転車税」とも呼ばれ、池袋駅周辺の放置自転車対策に宛てるために、JRなどから「乗降客1000人あたり740円」を徴収しようとするものだ。って、鉄道各社からするとこんな無茶苦茶な狙い撃ち税はたまったものではない。本日付日経によると「鉄道各社は『自転車を放置した本人に課税しないのか』と異論を唱えている」という。当たり前だ。

疋田さんのHPや著作を読むと、放置自転車問題は本当に根が深いことがわかる。これを切り口に、日本の製造業の構造的問題やゴミ問題や環境問題や交通政策や、いろいろ考えちゃうのだ。疋田さんの主張はひとことで言えば「自転車があまりに安かろう悪かろうだから、大切にされないことが問題」ということになるようだ。きっと豊島区も長年この問題に取り組んだことだろう。そして万策尽きたと判断したのだろう。それはわかる。例えば、放置した犯人から放置税を徴収しようとしたら、わずか年間数百円の税金を取るために何万円ものコストがかかるのは明白だ。だから豊島区は「取れるところから取る」という役人にとって一番手っ取り早い方法に出ただけである。あまりに安直ではないか。

疋田さんもご自身のメールマガジン「週刊 自転車ツーキニスト」90号で「(放置自転車は確かに邪魔になっている)だから即撤去、その費用は税金で、というところに話が落ち着くのだとすれば、それは問題解決のための手段を誤ってると言わざるを得ないと思う。自転車は走らせる以上、停まるのは必然で、ターミナルに自転車が集まるのは当たり前であり、それを収容するための施設がない。このことは紛う事なき事実なのだから。」としている。

本日付の日経記事の本筋は「総務省が豊島区の税導入に同意する方針を固めた」というもので、なんだ、役人同士で助け合っているだけか。もっと工夫はないのかね。
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# by haloon | 2004-09-04 19:14 | 本日のお題

山本夏彦賛

親の欲目(あるいは親ばか)っていうのは確かにあるもので、まあ親が褒めてくれなくなったら誰が褒めるのか、というほどなんですが、このブログで書いてきた記事を父親に見せたらとっても褒められちゃって、やっぱりうれしくなったりします。というのも、私の父はある出版社で編集一筋だった人で、文章の良し悪しについてはいわばプロの目利き。「親の欲目で50%増量サービス」としても、その父が私の一連の記事について「山本夏彦って読んだか?そんな感じだぞ」と評してくれたのです。

山本夏彦については名前は本屋の背表紙で知っていたが、これまで読む機会がなかった方。まず手始めに「日常茶飯事」(新潮文庫)を読み始めました。そこでびっくり。いやいや、息子をこんなスゴい方と比肩させるなんて、親ばかは500%くらい増量していたのです。ああ、恥ずかしい。老いたり、わが父よ。

カミソリ以上の鋭さであちらこちらをメッタ斬り、どれもいちいち納得することだらけ。どんどん読み飛ばすなんてトンデモもったいないから、ひとつひとつ、まるで高級ブランデーを舐めるようにゆっくり味わって読むペースに変えました。夏彦氏はすでに鬼籍入りされています。ああ、もっとゆっくり読まないと・・・・。

いつも見てくれている弟へ業務連絡。今回の記事は親父にプリントアウトして見せちゃダメだよ。
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# by haloon | 2004-09-04 13:19 | 読むこと、書くこと

とても本気とは思えない

誰がどう見ても器量・力量・見識・胆力・人望、すべてにおいて劣っている。なぜかカネだけは持っているから、最近はいろいろな揉め事に口を挟む。「お、一皮剥けたのかな」と期待させるが、やはり何をやるにも腰が引けていてイザという時には派閥のボスのいいなりだ。だからみんなは物陰からますますバカにする。会社にそんな男がいたとしよう。顔のイメージはドラえもんのスネ夫あたりか。その男がついにおおっぴらに言い始めた。「僕もそろそろ取締役になってもいい頃だと思うんだ」。果たしてこれを本気にするメンバーがいるだろうか?

「国連安保理の常任理事国入り」、これは小泉総理が最近になって突然言い出したことではない。いわば「日本外交 積年の悲願」だ。こんなお題目は外務官僚がムニャムニャと唱えているだけで、相手にしているのは派閥のボス(アメリカのことです)くらいだと思っていたが、本日付日経夕刊に「英外相『安保理』24-25ヵ国に」という記事を発見した。英のストロー外相が「常任理事国は24-25ヵ国に拡大するのが適当だと思う」との見解を示したのだ(具体的な国名は挙げなかった)。もちろんベタ記事だが、これをどう読むのか。本当に常任理事国拡大が国際社会の主要メンバーで議論され始めようとしているのか。それとも最近の日本のホットなネタだから、日本人記者が質問でもして発言を引き出したか。

こうした風潮を鵜呑みにして「いよいよ出番ダ」と張り切る政治家さんも出てきているのかな。小泉総理は今月ニューヨークの国連総会で演説する。得意の大風呂敷を広げて喜色満面、そんな恥ずかしい場面をまた見なくてはいけないのか。鬱だ。

どなたかのブログで読んだフランス政治家の皮肉なひとこと。「日本が常任理事国入り?アメリカが拒否権を2つ持つだけじゃないか」うーん、なかなか言いますね。
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# by haloon | 2004-09-03 20:41 | 本日のお題

スイカップと乳首写真

本日発売の週刊新潮「『スイカップ』を新聞広告から削る『朝日新聞』のお笑い言葉狩り」には全面賛成、よくぞ言ってくれました。スイカップ問題についてはもうこの記事に尽きているのだが、若干の私見を追加。

朝日新聞はいったい何様のつもりなんだろう。他社の広告の用語にクレームをつけて削除するという行為は相手の表現の自由を奪っていないのか。読者の知る権利を侵害していないのか。「スイカップ」という表現が気に入らないのはわかるが、規制するのは自分の社の記事だけにしろ。他のメディアを規制するのは「言葉狩り」だ。「我こそが日本の『第四権力』」ってことなのか。

「スイカップ」というニックネーム(?)は、あの大きさと山形の名産品を一言でズバリ突いたなかなか秀逸なネーミングだと思わないのかな。確かに胸が大きすぎることで悩む女性がいるのは事実だし、その女性に勝手にこうしたニックネームをつけるのはセクハラだろう。しかし彼女は明らかにあの胸を「チャームポイント」にしているではないか。「胸を食べ物に喩えるのは不適当」っていうのもわからない。週刊新潮にもあるように、日本語には「瓜実顔」というすばらしい表現もある。この言葉も同じ理由で「狩る」勇気があるか?

新聞広告とそれを掲載する側との軋轢で思い出すのは「乳首写真問題」だ。雑誌広告のヌード写真の乳首部分に星マークを着けてかえって目立たせてしまうトホホなあれ。グッとわいせつになるんだよね。「秘すれば花」って、この場合は違うのかな。また、読売新聞が「下品だ」という理由から週刊現代の広告を拒否していた問題もあった。今も読売には週刊現代の広告が載っていないから、これはまだ続いているみたいだが、やられた方からすると日本一の発行部数の新聞に広告を打てないのは痛いだろうな。

ポルノが解禁されているアメリカだが、それだけにこうした過激な著作物は徹底的に管理されていて、子どもの目には触れないような社会的配慮が広がっている。それにひきかえ毎朝数百万部が家庭に配達される日本の新聞にヌード写真が載ってしまうのはたしかにおかしい。週刊現代・週刊ポストには自宅や会社で開くことを憚られるページもある。しかし「それなら乳首部分だけを隠しちゃいなさい。それでよし」っていう官僚的発想にどうしてつながるのか。

文芸春秋社は社是として「自分の家に持って帰れないような本は作らない」としていたはずだ。過激な記事で商売をする雑誌がないだけに、こんなかっこいいことが言えるだけだろうが。

ひとつ知りたい。スイカップの文字を削除されちゃった場合、その広告掲載料は定価なのか?それとも文字数だけ割り引かれるのか?
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# by haloon | 2004-09-02 15:39 | 本日のお題

悪役横綱の結婚式なんて、誰が見るの?

31日にフジテレビが中継した朝青龍結婚式の世帯視聴率(関東)は、7.7%だった。直前の「スーパーニュース」が10.3%だったから、19時のゴールデンタイムにに3%近い視聴者が「逃げていった」ことになる。当日の新聞タイトルにあった「今夜あなたは目撃する・・・美女タミルとの秘話」って、あのヨメさんを「美女」と形容しなくてはいけないこの苦しさを見よ。

そもそも芸能人やスポーツ選手の結婚式をテレビで見せる感覚、っていうのは20年は古いのではないか。スポーツ選手にしても芸能人にしても、幅広い国民層が夢を仮託するほどのカリスマはもはや存在しない。しかも今回の主役は希代のヒール(悪役)朝青龍だ。今年はじめ頃、会社で同僚に「朝青龍が今年いっぱいちゃんと相撲界にいるかどうか、賭けようぜ」と持ちかけたことがあるが、全員が見事に「ノー」として、賭けが成立しなかった。そんな横綱の結婚式にどんな夢を託せばいいのか?

これを中継したフジテレビの事情は何?相撲界への人脈づくりだけ?スポンサーの反応は?赤字額はどれくらい?局イメージへの打撃は金銭に換算できませんぜ。
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# by haloon | 2004-09-02 02:56 | 本日のお題

もっと議論してから外国に披露してはどうか

韓国を訪れている与党幹事長2人がソウルで盧武鉉大統領と会談した。共同電によるとその席で公明党・冬柴幹事長は「永住外国人への地方選挙権付与の早期実現に努力する考えを表明、大統領は謝意を示した。ただ安倍氏は『自民党では憲法違反との考えが多数だ』と述べた」。この問題では与党の足並みは揃っていないようで、成立に熱心な公明党、消極的な自民党、という構図に見える。8月の与党の国対委員長会談でも「公明党は成立を目指すとしているが、自民党はなお慎重で、扱いは次期国会召集後に改めて協議する」(共同)との記事があった。

外国人に選挙権を付与する問題、これまであまり気にとめていなかったのでネットで調べてみると、すでに活発な議論があるようだ。「1995年には最高裁が永住外国人の地方選挙での選挙権付与に関して、憲法には禁止されてはいないと明言し、国の立法政策次第であるとの判断を下した」という記述も見つけた。だとすると安倍幹事長の「憲法違反」発言は根拠が怪しくなるな。

この問題に詳しくないので的外れだったら申し訳ないが、在日コリアンの比率が関東よりも圧倒的に高い関西では真剣な議論になっているのだろう。対象になっているのは外交や防衛を担う国政の選挙ではない。地方議会の選挙権ならば、地域のコミュニティの構成員である彼らに選挙権があるのは当然、というのもわかる。

問題はこれまでに日本の国会や世論でどれだけ議論されているか、だろう。次の国会で議論する、というのはいい。しかしそれを控えた今の段階で、たとえ正式な外交ルートではないとしても、韓国の国家元首に「早期実現」とまで踏み込むのはどうなのか。どういう文脈で出たのかもわからない。盧武鉉大統領が聞いたのに答えたのかもしれないが、もし冬柴幹事長の側があたかも「お土産」のように持ち出したとすれば違和感があるぞ。

公明党はどうしてそこまで熱心なのだろう。自然に考えれば、支持母体であるあの団体に在日コリアンが増えている、という構図だ。もし選挙権が付与されればさらに大量当選だあ。
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# by haloon | 2004-09-01 23:29 | 本日のお題