「羊」と「治安」は無関係だった

仕事やプライベートで様々な国へ行く機会があったが、「ああ、また来たいな。いや、いっそのこと住んでみたいな」と思わせる国は少ない。ニュージーランドはそうした国のひとつで、特に南島は森と湖が広がる中に数え切れないほどの羊がのんびりと放牧されていて、「風光明媚」という言葉はここのためにあるような気がしたものだ。その南島の中心都市クライストチャーチで先月末日本人留学生の変死体が見つかり、所持品を盗んだ疑いで10代の少年2人が逮捕された。遺体には外傷があったというから、強盗目的で殺された可能性が高いだろう。4月から10月までの語学留学だったということで、家族の悲嘆ははかりしれない。

「あの南島でまさかそんな事件が?」と思ってしまうのだが、もちろんそれはニュージーランドの風光明媚さを拡大解釈、「こんなにきれいなところなら治安だっていいだろう」と勝手に思い込んでいるだけで、世界中どこにだって犯罪者はいるし、犯罪被害にあう可能性はある。

たとえばこれがシカゴのダウンタウンだったりブラジル・リオデジャネイロでの事件だとすれば、こうした都市の犯罪遭遇率データを参照することもせずに、「やっぱり治安が悪いんだな」とつい納得させられてしまう。治安に関する都市のイメージというものは確かにあるし、それは映画やニュースといったメディアから受ける印象でほとんど決まってしまうものだが、当の町にしてみるとたまったものではない。だから観光が主要な産業になっている国(都市)での邦人被害犯罪の取材は難航するのが常だ。

「ある国に3日いるとその国が分かったような気がする。3週間いると分からなくなる。3年いると分かったような気になっていたことが恥ずかしくなる」という。観光や短い出張でフレンドリーなホテルの受付嬢と言葉を交わし、羊を大量に見る、それだけでその国のすべてを判断してはいけない。
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by haloon | 2004-10-03 08:46 | 本日のお題
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